【富士通×次世代ギャル】多様性の時代、ウチらがよりよく生きるための流儀

小澤杏子(左)と大塚尚子(中)とバブリー(右)

NewsPicks|2023年1月29日

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「ウチらの幸せ」を掘り下げていった果てに残った希望は、宇宙人類がフラットに対話するための「ギャルネス」にあった──。
インターネットやSNSの発達によって多様な価値観が可視化され、人々の幸せも多様化している。人それぞれに「幸せ」が異なるなかで、社会はどうやってみんなの幸せを実現していけるのか?
富士通でウェルビーイング領域を担当する大塚尚子氏は、みんなが幸せな社会をつくるヒントは、「エシカルで社会課題に対する意識が高い」と言われる若者にあるのではないか、と語る。
果たして本当に若者はエシカルなのか? 次世代の若者が描く「幸せな社会」とは? その実現のために、企業は何ができるのか? 次世代を担う小澤杏子氏、バブリー氏を招き、大塚尚子とのトークセッションで語り合った。

若者が「エシカル」ってホント?

大塚:富士通の若い社員たちと話していると、「エシカルなものしか買わない」と言う人もいて、環境や社会課題を意識しているんだな、と感じます。
自分の世代と比較すると本気で社会について考えているなって感心しているのですが、お二人はどう思いますか?

大塚尚子 富士通株式会社 ソーシャルソリューション事業本部長

小澤:環境や社会への関心は高い気がしますよね。今掲げられているSDGsやカーボンニュートラルなどのゴールとされている2030年、2050年に社会を支えているのって、「今の大人じゃなくて私たちじゃん」って思っちゃうんですよね。
逆に言えば、ゴールを達成できなかったら、困るのも私たちですし。そういった意味で、若い世代ほど未来に目が向いているっていうのはあると思います。

小澤杏子 株式会社丸井グループ 最年少アドバイザー 株式会社ユーグレナ初代CFO

バブリー:私はエシカルって感じもしないんだよね。
ウチのコミュニティの中で見た時には「環境にいいから買おう」っていう基準で選んでいる子はマジで1人もいないと思う。「Z世代ってエシカル消費するよね」って言われても「え? しないんだけど!?」みたいな。

バブリー 合同会社CGOドットコム 総長

大塚:あら、意見が割れましたね。

バブリー:私が思うに、エシカルであるかって、あくまでもプラスαの要素でしかなくて、それだけで買うのは、あくまで「エシカル」に関心が高い一部の層だけなんだと思う。
どちらかというと、それがクールだったり、自分のバイブスが上がったりしたら買うし、そうじゃなかったら買わない。「若者=エシカル、社会貢献意識が高い」って、なんとなく大人にとってカテゴライズしやすいから言ってるだけじゃないの? って思う。

小澤:人それぞれ考え方があるのが当たり前だし、意見は割れて当たり前でいいと思うんです。私たちの世代は、その感覚が特に強くて、それぞれの価値観や幸せを尊重し合ってる感じがします。

バブリー:そうだね。たとえば「ギャル」とひと括りにしてもそれぞれ自分の世界があって、自分の好きがあって、それを大事にしている子たちが多いなって思う。

大塚尚子

大塚:私は本物のバブル世代だったから、みんなが海外旅行に行って、ブランドものを買って、全部持っていてなんぼ! って感じだったけど、今はだいぶ価値観が違いそうですよね。
自分の子供を見ていても、今の若い世代ってガツガツしていないし、物欲も少ないように見えるんですよね。

バブリー:ウチらもだいぶ欲張りだと思いますけどね(笑)。ただ、「ブランドものが欲しい!」って人もいれば、「お金は推しに使う!」とか「環境や健康によいものを食べたい!」みたいな感じで、みんなが同じ欲を持つんじゃなくて、それぞれの欲がある感じ。

地球に住んでる=みんな仲間っしょ!

大塚:今の若者にとってはエシカルであることもたくさんある価値観の一つと捉えた方がよいとわかってきましたが、ではなぜ「社会貢献意識が高い」と言われているのでしょうね。

小澤:まず、社会の捉え方が違うのかもしれませんね。
たとえば、私は普段いろんな企業に顔を出して、若者代表として意見を求められるんですけど、それは企業の皆さんが「外の人の意見をもっと聞きたい!」と感じているからですよね。それって、普段接している人たちが限定的だからかなって。

大塚:なるほど。ということは、今の若い人たちの方が接している人や視点が多様。つまり「社会」の範囲が広いってことなのでしょうか?

小澤杏子(左)と大塚尚子(中)とバブリー(右)

小澤:そんな気がします。たとえば、私は小さい頃、海外に住んでいたから、全然違う国やコミュニティの人でも共通する点があるって感覚があるんです。
周りの同世代を見ていても、SNSとかを介して海外の出来事に触れて「中東で何が起きてる?」とか、「ロシアは今どうなってる?」とか、興味も出てくる。自ずと「社会」の範囲も広がっていくのかも。

バブリー:「ウチら地球人じゃん!」って思ったら、自然になんとかしたくなることって多いよね。

大塚:とっても壮大ですね(笑)。

バブリー:私は、ギャルマインドを活用して企業の皆さんとブレストしながら、新規事業やサービスを生み出す「ギャル式ブレスト®︎」という事業をやっています。

ギャル式ブレストの集合写真
写真提供:合同会社CGOドットコム

そこで一番大事なのは、いわゆる大企業に勤めているビジネスパーソンたちと、ギャルという普段全然接することがない人たちが一緒に議論をするってことなんですよ。

大塚:それで何が起こるのですか?

バブリー:最初はお互いわかり合えないし、ぎこちないんですけど、やっていくうちに「わかり合えた!」ってなる瞬間があるんです。
それを繰り返しているうちに、「え、ウチらみんな地球人じゃね?」って気づいたんです(笑)。

仲間意識のギャル式変容

大塚:なるほど。コミュニケーションを繰り返すと、より広い範囲に仲間意識を持てるようになる。その「地球人的視点」が、私たちから見ると「社会貢献意識が高い」ように見えるのかもしれないですね。

自分も社会も”アガる”仕組みづくりを

大塚:私たち富士通は今、環境とかジェンダーとかいろいろな社会課題を解決するために試行錯誤しているのですが、大きな変化を起こすには、価値観がどうであれ多くの人を巻き込んで行動を促していく必要があります。
でも、押し付けがましくなっても人は共感も賛同もしないじゃないですか。そのあたりが難しいですね。

バブリー:押し付けがましく言われると、バイブスは下がりますね。

大塚:二人の視点で、企業は、より多くの人を巻き込んで社会をよい方向に進めていくために、どんなことができると思いますか?

大塚尚子(左)と小澤杏子(中)とバブリー(右)

小澤:私は「意識しなくても環境に配慮した行動を取れる仕組み」が大事だと思います。
私がユーグレナという会社でCFO(最高未来責任者)を担っていた時に、自社が生産している飲料ドリンクをペットボトルからちょっと環境に配慮した素材に変えたんです。
そうしたらお客様はその飲み物を買うだけで、環境にちょっといい行動が取れる。企業が仕組みをちょっと変えれば、社会に大きく貢献できる。ビジネスの影響力ってすごいし、だから私はこれからも企業の中で活動していきたい。

大塚:富士通の注力テーマでも「Consumer Experience」という領域があって、消費体験を工夫しながら、社会をもっとよくしていく仕組みをどうつくるか、を考えているんですよ。
私たちはBtoBの会社なので、生活者には直接に接しませんが、たとえば生活者に対面している小売のお客様とお話しする時に、「もっとたくさん買ってもらうためにどうするか」ではなくて、「もっと無駄なく買ってもらうには?」とか、「エコだけどちゃんと儲かる仕組みはどうつくるか」といった話をしています。

バブリー:「これ買ったらめっちゃクールだよ」って仕組みがつくれたら、ウチらもポジティブになれるし、企業にとっても地球にとってもアゲな体験になる。

みんなにとってアゲ↑な社会をつくるための富士通People領域のテーマ

小澤:欧米だと、マイボトルを持ち歩くのがイケてることになっているんです。私の友達で海外の大学に進学した人たちは、みんなマイボトルを持ってカフェに行ったり、図書館に行ったりしてて、それがオシャレと認知されてるんですけど、結果的に環境にもいいんですよね。

バブリー:私もタンブラー欲しいなって思ったけど、結局使う場所がスタバくらいしかないなって思って買うのやめたことある(笑)。

小澤:まさに! 同じことを日本でやろうとすると飲み物を補充する場所がないんですよ。こういうブームってSNSとか若者を中心に生まれていくものだけど、ブームで終わらせないためには継続的な仕組みも整ってないといけないですよね。

「みんながアゲ↑な世界」のヒント

大塚:日本で見てみると、経済成長の鈍化とか少子高齢化とか暗いニュースが多いですよね。この先、日本の未来を背負っていく世代として、二人はこの先の日本についてどう思いますか?

バブリー:“日本”という大きい括りだと正直よくなっている想像がつかない。でも、“ウチら”はアガっていけるんじゃないですかね。「ギャル式ブレスト®︎」をやっていると国とかコミュニティとか規模感は関係なく「変えたい」という意志を持ってアクションしたら、ちゃんと変わるんだな、という手応えを私は感じていて。希望を持つことさえ諦めなければ、ウチらはきっとよくなっていける、という感覚ではあります。
この先、国籍も選べるようになるかもしれないし、どこに自分のアイデンティティを持つかは、もっと自由に選べるようになってくるかもしれないじゃないですか。

大塚:小澤さんはどう思いますか?

大塚尚子(左)と小澤杏子(右)

小澤:個人の生きやすさっていう観点では、私もよくなっていく気がする。たしかに昔よりは何かおかしいと思ったら「おかしい」と言いやすい社会になってきている気がするし、埋もれていた生きづらさや憤りを表に出せるようになってきたのはいいことですよね。

大塚:一方で、まだまだ課題も残っていますよね。多様性の課題とか。

バブリー:言葉を選ばずに言うんですけど、今の日本って意思決定層が「おじさんだらけ」じゃないですか。つまり、同質性が非常に高い意思決定になってしまっている。
まちづくりも一部の人だけで議論して決めてると思っていて。だからこそ今、渋谷のギャルはかなり減ってるんですよね。いろんな人がいて混沌としてて寛容なところが渋谷のよさだったのに、きれいになっていろんな規制がガーッと敷かれて、「そんなところにいても楽しくないよね」って、みんな移動しちゃったのかなって思ってて。
渋谷区は「多様性の街」を謳っているけど、「本当にそれは多様性なの?」て思いますね。

大塚:難しいですよね。たとえば富士通でも、新しいサービスを立ち上げる時に、社内の若手から役員まで入れて議論をしたとしても、それだけでは「ダイバーシティ」になっているとは言えないですよね。だってグローバルから見ると日本人っていう同質性の高い集団の議論でしかない。
これからの日本をよくすることを考える時に、そもそも日本人だけでやらない方がいいのかもしれないなって思いました。

バブリー:「ギャル式ブレスト」って、カルチャーの違う人同士がつながって対等に意見を交換するために、シンプルなルールを決めているんです。

ギャル式ブレスト ルール
写真提供:合同会社CGOドットコム

バブリー:やっぱり、どんな属性の人でも肩書き・役職を超えて、個人としてフラットに話せるかどうかだと思うんですよ。世界をアゲるためのカギは。

小澤:わかる。似たもの同士で馴れ合っているだけだと、私たちが主役になる時代の社会はサガる一方ですよね。

大塚:それを防ぐためのギャルマインドってことですね。属性問わずフラットに話し合うって時間も労力もかかるけど、みんなで話し合うことを諦めたくないですね。富士通でもギャル式マインドやってみようかしら。

バブリー:バイブス、上げていきましょう!

2023/12/27 NewsPicks Brand Design
取材・執筆:辻 香織
撮影:林 和也
デザイン:小谷玖実
編集:宇野浩志、金井明日香
NewsPicks Brand Designにて取材・掲載されたものを当社で許諾を得て公開しております。

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