デジタルの力で
1日も早く新薬を患者のもとへ
Article|2024年2月15日
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世界中を大きな混乱の渦に巻き込んだ新型コロナウイルスの蔓延。各国でかつてのような生活が戻りつつありますが、新薬の開発を迅速に行える環境の整備など、次のパンデミックに備えていくことが国際的な課題となっています。
富士通株式会社は、医療やヘルスケア分野における最新事例を紹介するイベントに参加し、データとテクノロジーによって新薬開発の効率化や迅速化へとつなげていくための取り組みを紹介しました。
当日の詳細な講演資料は、ぜひダウンロードしてご覧ください。
医療データを可視化 創薬に活用
2023年12月、東京・日本橋のイベントホールで2日間にわたって開かれた「Healthtech Summit (ヘルステック・サミット)」。医療・ヘルスケア分野に関わる企業や研究者などが集まり、それぞれが最新の知見を紹介しました。
富士通からはソーシャルソリューション事業本部の櫻井俊が講演を行い、データやテクノロジーを使って新薬の開発にかかる期間の短縮やコストの削減を図る取り組み「Virtual Pharma(バーチャル・ファーマ)」を紹介しました。
櫻井はまず、「Healthy Living Platform(ヘルシーリビングプラットフォーム)」というクラウド型のデータ利用基盤について説明しました。様々な企業や医療機関と連携しながら、富士通が高いシェアを誇る電子カルテのデータや個人の診療データを掛け合わせることで、医療データを安全に社会に流通させることを目指しています。
櫻井は、「ただデータをプラットフォーム上に持ってくるだけではなく、本人同意など法律上や倫理的にも問題ない形でデータを収集します。そして、富士通の持つ分析の技術などを活かしながら、ウェルビーイングな社会を実現していきたいと考えています」と述べました。
また、薬の開発の流れを大枠で捉えると、研究から開発、生産、そして販売といった流れで進められていきます。富士通は、Virtual Pharmaという取り組みを通してそれぞれのプロセスごとに様々なサービスを提供していますが、それらにHealthy Living Platformを加えることで、実際の医療・健康データをもとに創薬につなげていこうと取り組んでいます。
患者の負担を軽減しながら1日も早く新薬を
講演の中で、櫻井は患者に1日も早く新しい薬を届けようと富士通が取り組んでいるプロジェクトを紹介しました。
その1つが、バイオ創薬企業のペプチドリーム株式会社と協業で進める取り組みです。創薬を行うには「設計(Design)」・「合成(Make)」・「評価(Test)」・「分析(Analyze)」のサイクルが必要で、このサイクルは頭文字をとって「DMTAサイクル」と呼ばれています。富士通は、ぺプチドリームから新薬の研究開発、その機能や操作性の評価などについて協力を得ながら、DMTAサイクルを迅速に進めるためのソフトウェアを開発しました。これによって、各プロセスの進捗状況を可視化することで効率化を図り、迅速な新薬の開発につなげようと取り組んでいます。今後は、コンピューティング技術やAIを活用し、候補化合物の絞り込みなど各プロセスを高速化する機能を搭載していきます。
また、治験に協力してくれる患者の負担を減らすための取り組みについても紹介しました。Healthy Living Platformを活用し、実際の医療データをもとに被験者を想定したデータを発生させて治験結果をシミュレーションすることで、より成功確率が高く、被験者への負担が少ない治験デザインの方法を導き出します。また、電子カルテのデータを活用することで、対象となる患者がどこにいるかなどの情報を把握して、治験を希望する患者が新薬の投与を受けやすくなることも期待されています。櫻井は、「富士通が得意とするシミュレーション技術などを活用することで、治験の回数を減らし、患者に優しい治験を実現できると考えています」と述べました。
そして、「富士通は様々な課題に対して業種を超えて解決していきたいと思っています。私たちが持つコンピューティングやAIなどの技術を使って、革新的な医薬品の開発を支援します。同じ考えを持つ企業や団体の皆様がいらっしゃればぜひ声をかけて頂き、一緒に実現していきたいと考えています」と講演を締め括りました。
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