AI活用で”3X”の変革の道へ~モダナイゼーションの取り組みを紹介~

Amazon Web Serviceのイベントの様子

Report|2025年1月28日

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富士通は、2024年12月に米国ラスベガスで開かれたAmazon Web Servicesのイベントに参加しました。イベントでは、富士通のモダナイゼーションの取り組みを紹介するセッションが開かれ、モダナイゼーションを通してデジタルトランスフォーメーションなどの変革を後押ししていくことを強調しました。

AWS re:Invent 2024開催

Amazon Web Services(以下、AWS)が、毎年開いている大型イベントの「AWS re:Invent」。2024年もアメリカ・ラスベガスで開催され、多くの人で賑わいました。会場では約2000のセッションが行われ、およそ6万人が参加したという大規模なイベントです。今年も注目のトピックスとなったのはやはり「AI」でした。様々な企業がAIを活用した技術やサービスを紹介しており、多くのビジネスパーソンがその説明に耳を傾けていました。

プラチナムスポンサーとしてイベントに参加した富士通は、セッションへの登壇やブースでの展示を行いました。ブースでは、11月末に発表したAWSとの協業契約を全業種に拡大したことやAIを活用したサービスなどについて紹介し、大きな注目を集めました。

“3X”への道のりとは

イベントの会期中には、富士通のモダナイゼーションの取り組みを紹介するセッションが行われました。このセッションでは、モダナイゼーションナレッジセンターのフレミング・ダン・モーラーとロン・コマンドールが登壇し、「Accelerate Your "Road to 3X" with Fujitsu’s AI-driven Modernization」と題した講演を行いました。タイトルにある「3X」とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)・サステナビリティトランスフォーメーション(SX)・グリーントランスフォーメーション(GX)の3つのXを指していて、富士通はモダナイゼーションを通した3Xの実現を目指しています。

セッションでは、フレミング・モーラーが3Xを実現するための富士通の戦略を紹介し、「富士通は、技術的な進歩と持続可能性、そして社会的責任のバランスを保ちながら新たな価値を生み出すことを目指しています」と説明しました。フレミング・モーラーの指摘する新たな価値の創造とは、顧客だけでなく、社会や環境にもプラスの影響を与えながらビジネスの成長と成功に繋げることです。その上で、「その実現には、協力的な取り組みが重要であり、企業は、顧客や従業員、パートナー、その他のステークホルダーとの協力が不可欠だ」と強調しました。

代わってマイクを握ったコマンドールは、「富士通とAWSの協業は10年以上前の2012年に始まりました」と切り出しました。その上で、協業開始後は自動車や金融、小売など、業種を徐々に拡大し、今年2024年には、モダナイゼーションの分野におけるパートナーシップを締結したことを説明しました。モダナイゼーションは、富士通が注力している取り組みの1つで、多くの企業が直面している課題でもあります。いわゆる「レガシーシステム」から脱却できていない企業はそれだけ多くのリスクやコストを抱えていて、将来的には競争力を失う可能性もあります。コマンドールは、「何年も前に開発されたアプリケーションが依然として存在し、クラウドへの移行が難しい場合があります。このため、モダナイゼーションは不可欠です。お客様がどのようなテクノロジーの組み合わせを持っているのか、どのようにしてお客様を支援できるのかを理解することが私たちに求められています。そこで、モダナイゼーションに特化したサービスを中心に、グローバルなポートフォリオを確立しました」と述べました。

富士通は、モダナイゼーションの取り組みを進めるにあたり、コンサルティングサービスを強化しました。顧客の状況を聞き取って、最適なモダナイゼーションの方法や手順を提案します。そして、「AWS Blu Age」を使ってメインフレームからコードを読み取り、ソースコードの分析機能や変換機能を用いてJavaへと書き換えます。コマンドールは、「AWS Blu Ageは、従来の環境から最新の環境への移行を支援するエンドツーエンドのツールで、アセスメントや移行、変換だけでなく、アプリケーションコードの継続的な開発と強化にも役立ちます。エンドツーエンドのコンサルティングと変革を提供する富士通のアプローチともうまく適合しています」と強調しました。

セッションでは、富士通とAWSの協業の先行事例として、大手デパートの高島屋におけるモダナイゼーションの取り組みを紹介しました。高島屋のシステムは20年から30年以上前に開発されたもので、必要なドキュメントが存在しなかったり不完全だったりしたことや、開発当時の状況を知る人がすでに退職していたためにわからなくなっていました。そのような状況で活躍したのがAWS Blu AgeのAI機能で、不足していたドキュメントを生成したほか、テストケースの作成なども行いました。また、AIを活用したことで、ドキュメントの作成やソースコードのテストに必要な時間の短縮にもつながりました。今後は、コンサルティングサービスやアセスメントなどにAIをさらに統合し、移行したあとのシステムの最適化と管理を行うことを目指しています。

コマンドールは、「クラウドへの移行は始まりに過ぎず、ビジネスニーズが変化するにつれて、アプリケーションも継続的に更新していく必要があります。AIなどのテクノロジーは、アプリケーションの進化の様相を変えつつあり、同時にサステナビリティや社会的責任の要素も重要になります。富士通では、これらの要素を『Fujitsu Uvance』というビジネスモデルにまとめていて、ビジネスとテクノロジーを融合させることを通して社会課題の解決に繋げていきます」と語りました。

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