富士通がCOP28に参加 脱炭素社会に向けたビジョンの共有を
Report|2024年1月24日
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気候変動の重要な課題を議論する会議「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」が、2023年11月末から12月中旬にかけてUAE(アラブ首長国連邦)で開かれました。富士通株式会社はジャパン・パビリオンでのパネルディスカッションなどに参加し、グローバルビジネスソリューションビジネスグループの青柳一郎が、「脱炭素社会を実現させるには、様々な組織が協力し合いながら共通のビジョンを共有する必要がある」と訴えました。
COP28 ドバイで開催 富士通も関連イベントに参加
世界有数の産油国・UAEのドバイで開かれたCOP28。世界各国のリーダーが集まり、主要な議題である気候変動対策やエネルギー問題のほか、保健、平和など様々な議論が交わされました。
会議の大きな焦点の1つとされたのが「化石燃料」の扱いでした。会期が延長されるなど、協議は長引いたものの、最終的には各国が化石燃料からの脱却を進めていくことなどで合意。この中では、2030年までに世界全体で再生可能エネルギーを3倍に、エネルギー効率を2倍にするという具体的な目標が盛り込まれています。
会期中には様々な議論の場が設けられ、「気候変動対策は待ったなしの課題で、迅速な行動が求められる」とか、「既存の考えや思い込みから脱却し、点ではなく全体を見て対策に取り組むべきだ」などといった意見が随所で聞かれました。
COP28の会場にはジャパン・パビリオンが設けられ、12月5日には「1.5℃に向けてともにアクション: 日本社会が持続可能な脱炭素社会を実現するために」と題したセミナーが開かれました。ここではパネルディスカッションが行われ、民間企業や自治体、財団の担当者などが登壇しました。富士通からは社会課題に挑む事業モデル「Fujitsu Uvance(フジツウ ユーバンス)」を担当する青柳一郎が出席し、気候変動に対する考え方や富士通が行っている施策などについて報告しました。
まず青柳は、「野心的だ」とする富士通の温室効果ガス排出量の削減目標について話しました。富士通は、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量(Scope1,2)をグループ全体で2030年度までに100%削減するほか、バリューチェーン全体(Scope3)でも2040年度までにネットゼロを目指しています。
「Scope 3を含め、サプライチェーン全体でネットゼロとする2040年度の目標については、『持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development:WBCSD)』とともにCO2の可視化を検証する社会実装を行いました。この中で、サプライチェーンを構成する複数のサプライヤーからデータを収集し、当社のPCサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量に関する情報を可視化しました」。
脱炭素社会の実現へ 各組織が連携を
議論は、各国の政府に対してどのような政策を期待するかについても及びました。
登壇者からは、「政府が将来の展望や道筋を明確にし、資金の使い道や投資のタイミングをより明確にすれば、企業は自信を持って将来の戦略を描くことができるようになる」など、国が長期的なビジョンを示すことを求める意見などが出されました。
「各国の政府が、国や産業ごとに異なる規制にさらされることなく、民間企業が迅速に行動を起こすために何ができるかということです」。そう述べた青柳は、「富士通は、サーキュラーエコノミーを推進したいと考えていて、それを実現するにはデータの透明性と信頼が重要です。多くの人がAIの活用などを掲げていますが、データそのものが信頼できなければテクノロジーに何ができるでしょうか。企業が行動を起こしたり、データの信頼性の基盤を構築したりするために障壁を下げていくこと。それが政府にできることだと思います」と訴えました。
パネルディスカッションの終わりに、青柳はオーディエンスへのメッセージとして「『希望』のもとに団結する事が重要だ」と語りかけました。
「私たちは協力する必要があり、民間企業・政府・知識人・学者など、様々な組織が共通のビジョンを共有する必要があります。私の好きな言葉に『最善を望み、最悪に備える』 というものがあります。最悪のシナリオだけにフォーカスするのではなく、組織として何ができるのか、何が最善かという希望のビジョンを共有していきたいと思います」。
そして、COP28の会場で多くの人たちと議論をした青柳は、さまざまな組織が連携して取り組んでいくことが重要だと改めて感じたと話します。
「社会問題を解決していくためには、一企業でできることには限界があり、あらゆる組織が連帯して取り組んでいくことが重要です。富士通が中心となってコンソーシアム(共同企業体)のような組織を作り、同じような考えを持つ企業と協力しながら希望に満ちた未来を目指して取り組んでいきたい」。
青柳 一郎
Ichiro Aoyagi
富士通株式会社 Solution Service Strategic本部 Co-Head
松下電器産業株式会社(現Panasonic)を経て、1998年富士通株式会社に入社。複数の事業部門において海外戦略を立案、実行。Kellogg経営大学院でMBA取得後、外務省に出向し日本とインドネシアの経済連携協定交渉に従事。2020年4月DXプラットフォーム事業本部長に就任。データアナリティクスやブロックチェーン等、データ事業を立ち上げ、2022年4月からFujitsu Uvance本部副本部長として、社会課題解決を目指す事業を国内外で牽引。2023年4月より現職。
サステナビリティ・トランスフォーメーション:人と自然が共存する豊かな未来へ
デジタル技術で環境課題を解決する実践的アプローチと、ビジネスチャンスに繋げていく具体策とは?富士通の青柳一郎が、持続可能な未来への洞察と、今すぐはじめることができるアクションプランをご紹介します。
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