Oracle CloudWorld2024レポート
ソブリンクラウドでクラウドジャーニーを加速!

Oracle CloudWorld2024の様子

Report|2024年10月23日

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富士通株式会社は、オラクル・コーポレーションがアメリカ・ラスベガスで開催したイベント、「Oracle CloudWorld 2024」に参加しました。基調講演に登壇した富士通の古賀一司システムプラットフォームビジネスグループ長は、新たなクラウドサービスを紹介し、「日本のデータ主権の要件に特化した富士通のクラウドでデータ主権のニーズを満たしていく」と述べました。
およそ1万6000人が参加し、熱気に包まれたイベントの様子を現地からリポートします。

OCW開催 “マルチクラウドの時代へ”

アメリカ・ラスベガスで開かれた「Oracle CloudWorld 2024」(以下、OCW)。4日間で約1000のセッションが行われ、約1万6000人が参加した大規模なイベントです。
会場となったホテル内のコンベンションセンターには、世界中から多くのビジネスパーソンが集まって、多様なセッションに参加したり、ブースを回ったりして、熱心に情報収集をしていました。
中でも注目を集めたのが、オラクルの会長兼CTO(最高技術責任者)であるラリー・エリソン(Larry Ellison)氏のキーノート(基調講演)です。およそ11000人を収容可能な大規模な会場を埋め尽くすほどの聴衆が集まり、その言葉に耳を傾けました。エリソン氏は、前日に発表したAWSとの戦略的パートナーシップについて説明し、「クラウドはもはや”閉鎖的なプラットフォーム”ではなくなった」として、マルチクラウドを推進していく方針を示しました。また、エリソン氏は、マルチクラウド時代は顧客の選択肢が広がると述べ、その選択肢の1つとして富士通を紹介しました。

富士通がOCWに参加 オラクルとの連携を強調

OCWの会場に入ると、世界各国から参加した企業のブースが所狭しと並んでいて、AIを活用したソリューションやサービスを紹介する企業が多く見られました。富士通の取り組みを紹介するブースも設けられ、連日多くの人で賑わいました。ブースでは、2024年4月に富士通とオラクルが発表した、オラクルのクラウド・インフラストラクチャ・プラットフォームである「Oracle Alloy」を活用した新たな「ソブリンクラウド」の具体的な内容などについて紹介しました。日本国内におけるソブリンクラウドの定義をめぐっては、様々な議論がなされている最中ですが、富士通は、地政学的リスクや経済安全保障の観点から、「データ主権」・「運用主権」・「法的主権」・「セキュリティ主権」が確保できるクラウドサービスが必要だと考えています。このソブリンクラウドについては3日目に行われたキーノートでも紹介し、多くの関心が寄せられました。次章では、その様子をリポートします。

遠方から撮影したOracle CloudWorld2024登壇の様子

キーノートに登壇 “ソブリンクラウドで持続可能な未来を”

イベント会場で最も広いホールで行われたキーノート。3日目のセッションには、システムプラットフォームビジネスグループ長で執行役員SEVPの古賀一司が日本企業からは唯一、キーノートに招かれ、Oracle Cloud Infrastructureのエグゼクティブ・バイスプレジデント、クレイ・マグワイク(Clay Magouyrk)氏と対談しました。このキーノートには、GoogleやUber、それに米国の映画製作大手Skydance Animation といった世界的な企業が登壇しました。 オンラインを含む約8500人の聴衆が耳を傾ける中、古賀はまず、ビジネス成長と社会課題の解決を目指す富士通のソリューション、「Fujitsu Uvance(ユーバンス)」について触れ、「Oracle Alloyは、Uvanceにとって理想的なプラットフォームです。OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の多くの機能は、AIを含むお客様のソブリニティへの要求に応えながら、社会課題の解決に役立つでしょう」と述べました。

続いて、富士通が東京証券取引所をはじめ、世界中の企業や組織の基幹システムを支えていることを報告しました。しかし、その多くは、運用の透明性やデータ管理に課題があり、ハイパースケーラーへの移行に苦戦しているのが現状です。一方で、富士通のクラウドはかねてよりこれらの課題に対応していましたが、顧客のニーズをすべて満たすまでには至っていませんでした。その両方の課題を解決するのが、2025年4月に提供開始予定の富士通のソブリンクラウド「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」です。この富士通のソブリンクラウドは、富士通のデータセンターで富士通が運用し、管理することから、運用の透明性を担保し、データとその保存場所を制御しながら、生成AIを含む150以上のOCIのサービスを利用することができます。

古賀は、「オラクルと富士通は6ヶ月間にわたって議論を重ね、OCIの既存の機能に加えて日本のソブリン要件に合わせた106の機能を実装していきます。これにより、政府機関や経済安全保障推進法における特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度で指定された電気・ガス・水道、運輸、金融などの15の基幹産業のニーズを満たすソブリンクラウドを提供します」と強調しました。

マグワイク氏は、古賀との対談の締めくくりに富士通の展望について尋ねました。
古賀は、「私が最もワクワクするのは、AIやこれから登場する新技術とともにこのソブリンクラウドを活用して、グローバルに持続可能な社会を実現していくことです。将来的には、このソブリンクラウドを日本だけでなく、グローバルに展開していく計画です」と答えました。
オラクルと富士通の協業の展望について語った2人には会場に集まった人たちから惜しみない拍手が送られ、ソブリンクラウドへの関心の高さを実感するイベントとなりました。

クレイ・マグワイク氏と古賀一司